(プラタナス)
実は、ここしばらく鞭から遠ざかっていた。
私のほうの事情で、身体にあまり派手に痕を残すことが、し難かったから。
マロニエさんは、私がそう言えば、スパッとやめる。
無理強いすることは決してないので、結果的にもう数ヶ月本格的なのはされていなかった。
もちろんペンチやクリップなどでの痛みは与えられていたけれど、鞭はしていない。
時々一人でいる時に、無性にされたいと思うことがあった。
鞭を手に近づいてくるマロニエさんを見るときの切ない恐怖や、打っているときの彼のそれは嬉しそうな笑顔を思い出して、
息が詰まるような欲望を感じる瞬間もあった。
でも、実際の生活での困難を考えると、やはり気持ちが萎えていく。
しかも鞭は、快感だけではない。
はっきりと、苦痛と恐怖がある。
そこから離れていればいるほど、恐怖も大きくなってくるのだから。
日常の困難を乗り越えてまで、苦痛と恐怖を自ら求める強い欲望になっていくのを、自分で圧しとどめていた。
だって、鞭を求めなくても、会ってもらえているから。
ほかのこともしてもらえるのだから、
それでいいやと、気がすんでいた。
そのはずだったのに・・・
「時系列13」の夜、二人で食事しながら、欲情するままに私が言った言葉。
「マロニエさまぁ。最近鞭してないねえ。」
(って、誰のせいなんだよ!と己にツッコミたいですよね・笑)
それに対してマロニエさんったら、
「俺は、プラタナスがそのうちに、自分から『こちらの困難は私が自分でなんとかするから、どうか鞭打ってください』って、お願いするのを待ってるんだ^^」
だって。
あー!ずるい!と思った。
そんなこと言われれば、Mだったらやっぱりどうしても、そう言ってしまいたくなるものねえ^^;
もちろん私もそう思った。
お店を出て、お外でちょっとだけ打たれた。
久しぶりの鞭。
いや、このときはゴム板だった(一番痛いやつ^^;)
太ももに、衝撃と焼けるような痛み。
本当に久しぶりの感覚。
うぁ・・・ああぁ・・
声が出るのを抑えることができない。
近くに人がいるかもしれないのに。
痛い!久しぶりで、ものすごく痛い!
でも・・・どうしよう?
私これ、気持ちいい!
すごくすごく気持ちいいよううう(号泣)
身体が勝手に走り出す。
お腹の底から湧き上がる欲望に、驚く。
おいてきぼりされた心が、戸惑っているのに、もう止められない。
「もっと・・・もっとしてください!」
涙が吹き出てくる。
あまりにも激しい欲望と、
こんなふうにそれを求めてしまう、自分の心が悲しくて。
うそ。どうしよう?
私、こんなに求めていたの?
マロニエさんの喜ぶ顔を見たいとか、マロニエさんが持ちかけたからその気になったとかじゃ、
もう全然ない。
自分自身の切羽詰った欲望に、気付いてしまって立ちすくんでいる。
そんな自分が悲しくて、泣きべそをかきながらも、抑えることができない。
路上で、持ってる荷物を放り出して、手放しで泣いてせがんでいる。
後日、ゆっくり鞭されるところを、
ビデオに撮って見せられた。
いや、ある程度予想はしていたんだけど^^;
打たれて、飛び上がってのた打ち回って、痙攣しながら、
その震えがおさまらないうちに、また次の鞭を、言葉に出して求めている私がいた。
はああ・・(嘆息)
「これ」が、こんなに好きだって、自覚しちゃうのは、
マズイよねえ・・・
さっさと認めてしまいましょう(笑)
自分が納得してるなら、それでいいんですってば。