(プラタナス)
痛いことされるのは、嫌い。
普段の私はたいそう痛がりで、ちょっとどこかにぶつかっただけで大騒ぎする。
マロニエさんにされる時だって、いつもいつも歓迎ってわけじゃない。
いやだ、やめて!って思うこともしばしばだし、
やって、と言ってから、途中でつらくてダメになる時もある。
それでも、痛いことされるときの、あの胸に迫る切ない感情が、時々とても欲しくて、
マロニエさんにお願いしてしまう。
「痛いことして!」って。
でも、これを口に出すのは、ものすごく勇気がいるんだ。
そう私からお願いした時の彼は、本当に容赦ないから。
もともと、求められてするのが好きな人だから、苦痛をこちらからおねだりなんてしようものなら、
それこそ嬉々として、容赦なく、酷いことをしてクダサル(笑)
こちらのリクエストなんか、遥かに越える酷いことを。
それがわかっているから、お願いを口に出すのは、いつもとてもこわい。
そのあとに、我が身に降りかかる苦痛を考える時、容易に言い出せずに、口ごもり何度も躊躇う。
言いかけては誤魔化し、また言いかけては否定する繰り返し。
罠に落ちる獲物を息をひそめて待つように、微笑んでいるマロニエさん。
それでも、葛藤の末に我慢できずに、ついに願いを口に出してしまう時の、絶望的な歓びが忘れられない。
堅く握っていた手を開き、苦痛のさなかに差し出す瞬間の、暗い歓び。
私の願いを聞いて変化する、マロニエさんの表情が見たい。
私にどんな苦痛を与えようかと思案するサディストの表情。
拘束されて、身動きできない状態で、鞭を手にこちらに近づいてくるマロニエさんを見る時の、
お腹のそこから湧き上がる暗い狂った快感を、
私はどうしても、忘れることができない。
涙と汗でドロドロになった曇った瞳にうつる、心底うれしそうな彼の笑い顔を見たい。
苦痛にもみくちゃにされて、纏った鎧を一枚ずつはがされて、丸裸になって悲鳴をあげる快感。
終わったあとの、あの洗い上げられたような爽やかな気持ちに、もう一度なりたい。
何より、苦痛を味わいたい。
彼が与える苦痛を、思う存分全身で味わいたいんだ。
そして、
願いを、口に出す。
私をいたぶるための鞭をペンチを縄を探すために、視線を彷徨わせるマロニエさんを見る時、
口に出したことを激しく後悔しながら、
それでも私は深く満足する。
素直でストレートな告白にぞくっとしました。
そうなんですよね〜
スイッチが入ったときの表情を見たいがために・・・というの、すごく共感できます。